生産者紹介

めぐみ農園

ひと味違う品種を育てたいと始めた紫玉ねぎ。辛味が少なく、サラダ向きの品種です

じっくり大事に育てられる有機JASの露地野菜

山口県は玉ねぎの生産が盛んで、大根やキャベツと並ぶ露地野菜の主力品目だ。品質の良さと出荷の安定性に定評があり、「山口甲高」 は有名品種の源流といわれる。手作業で外皮をむく「みがき玉ねぎ」は山口県で始まり、全国的に評価が高い。玉ねぎの主な産地は山口・萩・防府市。瀬戸内側の中央に位置し、気候が温暖な防府市は玉ねぎの国指定産地で、極早生から晩生の品種が市内全域で生産されている。
有機認定農家戸数が東京に次いで少ない山口県で、防府市めぐみ農園の原田慎司さんは3年前に有機JAS認定を取得。玉ねぎ・にんじん・にんにく・里いも・さつまいも・かぼちゃを最小限の有機肥料でのびのびと育てている。
5畝ほどの圃場で栽培している、薄皮が紫色の「紫玉ねぎ」は数少ない甘味種のひとつ。別名「レッドオニオン」と呼ばれ、特有の色は疲れ目や視覚機能の改善効果が期待されるアントシアニンによるもの。辛味が少なく彩りもきれいなので、生食に向く。露地栽培の畑で、艶やかな葉っぱの玉ねぎたちが収穫時期を迎えている。

スタート時から自然に有機栽培

農業に興味を持ったのは、24歳ごろに同級生の友人から、「同じ年代の農業やる人がおる」と紹介してもらってからです。大学を卒業してサラリーマンをしていましたが、結婚を機に28歳ぐらいで転職し、林業と農業を兼業でやり始めました。林業は時間の融通が利く職業だったので、林業できちっと収入を得ながら農業をするのがちょうどよかったんです。だんだん農業と林業のウエイトが変わって、専業農家になったのは5年前です。 祖父母は家庭菜園をやっていましたし、親父は慣行栽培でいまもお米を作っています。僕が有機栽培をやりだしたのは、化学肥料や農薬を使わない栽培を一番初めに教えてもらったためです。当初は効率を考えましたし、「病気が発生したら農薬をふった方がいいかも」という感覚もありましたが、無農薬無化学肥料の栽培の良さを身近で教え続けてくれたので、次第に染まっていきました。 特別なこだわりがあって始めたわけではないけれど、いまでは農薬を使わない栽培以外をやるつもりはありません。肥料として緑肥と鶏糞を使い、無理に連作しないことを基本に栽培しています。

紫玉ねぎの産地を目指して

最初にトマト・ピーマン・なすなどの夏野菜を作り、夏の収穫管理の大変さを体験しました。これまで作ったことがない野菜はないかもしれません。いろいろと試した上でいまも続けている野菜、玉ねぎ・にんじん・にんにく・里いも・さつまいも・かぼちゃは自分に合っていたのでしょう。
この地域では昔から玉ねぎが作られていて、気候や土地柄、土質が合うようです。
技術的にはまだまだですが、年々少しずつ質も味もよくなってきて、甘味やうま味を評価していただいています。
今年は元気に育ってくれていますが、2年前の同じ時期にはしおれた葉っぱだらけでした。消毒をしないので、雨が多くて湿度が高くなり、水はが悪いと、病気が蔓延してしまいます。5月末から6月上旬の収穫までは気が抜けません。収穫の時に雨が多いと痛みが早いので、天候をみながらタイミングよくスピーディに作業して、梅雨入り前には全部とり終えないといけません。
玉ねぎには白や赤など多様な品種があるので、他の人が作っていないものに挑戦したくて紫玉ねぎを始めました。甘味があって彩りもいいので、スライスしてサラダにするのに最適です2年前、白い玉ねぎがほぼ全滅して心が折れそうになりましたが、紫玉ねぎはビクともしなかったんです。この土地に合っている上、病気に強い品種なのかもしれません。紫玉ねぎの産地にしたいですね。

鮮度の良いおいしい野菜を届けたい

西は下関から東は岩国まで、山口県は有機JASの普及率が低いそうです。有機グループの仲間に誘われて、有機JAS認証を取得して今年で3年目です。有機JASの圃場の面積は6~7反ぐらいで、基本的に一人でやっています。きちっと管理して記録を残さないといけないので大変です。メインの販売先は地元のスーパーです。POPで有機野菜のコーナーをつくり、力を入れて販売してくださっているのが嬉しいですね。
子どもは3人います。長女が畑に入ることもありますが、農薬を使っていないから、「いま畑に入らん方がいい」「野菜に触らんほうがいい」ということもなく、安心安全です。
なるべく鮮度の良いおいしい野菜をお客さまにお届けすることにこだわっています。できるだけとれたての野菜を出荷したい。後は保管庫や冷蔵庫でしっかり管理し、鮮度を保つように心がけています。農業は計画を立てて収穫する喜びに加え、お客さんに食べてもらっておいしいと言われる喜びもあり、やりがいはどんな職業よりも高い気がします。いま36歳、専業になってよかったです。

地域すべてを耕作地に

お米や野菜を作っている農家さんが高齢化して、耕作放棄地が増えています。地域まるごと45ヘクタール全部が耕作放棄地とならないように対策をとっていきたいです。頼まれたら受け入れできるぐらいの規模になりたいと思います。個人でも組織でやるスタイルでもいいので、考えていかんといけない時期です。仲間は多いほどいいですね。
野菜を作る人が本当におらんのですよ。この地域に専業農家はふたりくらいです。ほかは兼業でお米を作っている人たちばかりで、退職したら専念するかというとそうではありません。地域の後継者として、がんばっていきたいと思います。JA防府とくぢ青壮年部の副部長をしているので、JAの職員さんが僕の畑に研修に来ることもあります。有機に限らず、市の農業全体がもっと栄えて欲しいですね。大きなくくりの農業振興が、有機農業の発展にも繋がっていくと思います。 周りから見て魅力的なことを自分がしていれば、やりたいと思う人が自然と出てくる気がします。畑を手伝いに来てくれている高校生がいずれ卒業したときに就職先にまでできたらいいですね。中高校生の農業体験の受け入れなど、食育や農業振興という意味で大きく広がっていくと思います。自分たちが種を蒔いて植えたものを収穫して食べてみるところまで一貫してやってみたいですね。

土に触れる楽しさを子どもたちに

原田さんの畑には、地元の中高生が農業体験にやってくる。この日、手伝いに来ていたのは、山口県防府市にある中高一貫教育の「高川学園」サッカー部員の高校生。山口県有数のサッカー強豪高校として全国的に知られ、100人を超える部員が農業部などの部内 12 の部署に所属している。農業部員や怪我人など、希望者が手伝いに来て、なかには何十回も通う常連の生徒もいるとか。
「土に触れて体験してもらうのが一番です。収穫後の玉ねぎやにんじんはできるだけ食べてもらいます。水・木曜日の放課後 2時間ぐらいと土日の都合のいい時に 3、4 人で来てくれて頼もしいですね。サッカー部の監督は、子どもたちが土に触れ、自分の食べる食物を育てる大変さを学ぶことを大事に思われていて、実際に経験させていらっしゃるのが素晴らしいです」と原田さん。中学生は総合学習授業として、クラス全員で里いもの種植えや草引き、玉ねぎやにんにく、さつまいもの収穫などを行う。「農作業だけではなく、いろいろな経験をしてもらいたいですね」

DATA
めぐみ農園(山口県防府市)
主な生産物:紫玉ねぎ【有機JAS 無農薬】
代表者:原田慎司
主な作物出荷カレンダー