生産者紹介

淡路島花岡農恵園

ブランドとして知られる淡路島産たまねぎを自然農法で育てています。

有機JASを上回る独自基準で素朴に育てあげる

淡路島は兵庫県のいちばん南にある南北に細長い島。いまから約1200年前の平安時代には、「御食国」といわれ、神や天皇に食べ物を献上していたとされている。年間を通じて瀬戸内海特有の温暖な気候に恵まれ、日照時間が長い。日本一の品質を誇るタマネギをはじめ、野菜・米・果樹・畜産など、多彩な農畜産物が勢ぞろいだ。

軟らかい歯応えと圧倒的な甘みが特徴の淡路島産ブランドのタマネギだが、有機栽培は生産量の0.5パーセントにも満たないという。皮肉なことに、野菜王国であるがゆえに農薬の使用量が多くなっていくのが産地の宿命である。同じ野菜を大量に作らなくてはならないため、肥料も増えていく。

その厳しい循環を断ち切り、有機栽培に挑戦しているのが花岡明宏さんだ。オーガニック認証センターで有機JAS認証を取得しているが、現在は有機JAS法で認められた農薬・肥料・土壌改良剤すら使用せず、淡路島の風土を最大限に生かしながら、完全無農薬栽培を実現している。

保育士から酪農、農業へ

2004年に就農し、自然農法に切り替えてから4年ほど経ちます。 淡路島の風土に根ざして、タマネギを中心に、ニンジン、ジャガイモ、カボチャ、ダイコンなど、年間30~40品目ほどの野菜を無肥料無農薬で自然栽培しています。合鴨農法で有機米も作っています。
保育士を志していたのですが、もともと自然が好きで、資格を取った後すぐに北海道の牧場で働き始めました。その後、牛を放し飼いで酪農する放牧酪農を実践していた九州の牧場でも勉強しました。酪農をするという夢もあったのですが、兄の結婚を機に淡路島に戻ることになり、この土地柄にあった農業をすると決意しました。環境にも興味があり、自然と共生する農業をしたいという思いで、最初から有機農業に取り組んでいます。
就農して10年ほどで有機質肥料もやめ、自然栽培にしたのは、若い研修生に影響を受けたからです。非常に意識が高い若者が多く、その仲間たちに刺激されて自分の農業を見直すようになりました。次第に、どこの原料かわからない有機肥料を使って有機農業をやることに疑問を持ち始め、有機農業の良さを生かすには、地域で出る有機物をうまく循環利用していくことだと気づき、自然農法に切り替えていきました。

自然栽培に取り組み、収量が半減

当初から無農薬でしたが、無肥料に切り替えて農産物の収量がだいぶ減ったときには、「こんな状況で農業経営を続けていけるのかな」と不安に思ったものです。収量が半分ぐらいに減った野菜もありますし、もっと減って3分の1ほどになってしまったものもあります。味はおいしいのに、サイズが小さすぎて販売がしにくいなど、最初は苦労しました。
就農と同時に地域の有機農業者のグループに入らせてもらっていたのですが、「肥料を使わずに自然栽培で作るのは難しい」という声をたくさん聞きました。いまでもそう思われている方は多いと思います。少しずつ収量が安定して、味もどんどん良くなってきていることを知ってもらいたいと願っています。
いま、圃場の作付面積は4ヘクタールです。有機農法や自然農法で作られたものだとしても、あまり見栄えが悪いと売れない時代になってきています。商品として売れる形のいいものと自分のところで食べるものの両方を確保するため、広い面積である程度の量をしっかり作ります。

家族の健康と幸せのために

以前は米も野菜も自分で作ったものばかりを当たり前のように食べていたので、その味がおいしいのかどうか意識したことがありませんでした。最近は自分の野菜を食べて、はっきりとおいしいと感じますし、家族もそういってくれるようになりました。今年は特に、葉タマネギもダイコンもすごくいいものかできて、お客様からも「味がとてもおいしい」と聞かせていただくことが多く、だんだんと自信につながってきています。
自分や子ども、家族が、健康で幸せに生きるために野菜やお米を作るのが基本だと思っています。丹精込めて作ったものを食べ、僕や家族が働く姿を見て子どもたちが育ち、またこの地で一緒に農業をやっていければ、いちばんの喜びですね。子どもたちはいま9歳、6歳、4歳。末っ子の長男・祐二は、 僕がトラクターに乗っていると一緒に乗りたがります。長女の百合や次女の佐知も乗りますが、ハンドルを握る真剣さが違います (笑)。

シンプルに農業を続けていきたい

無肥料無農薬には、すごく可能性を感じています。 風土の恵みや自然環境、作物の命の力を生かして人が食べるものを、うまく作っていくことができれば、地域のなかで食や仕事など、さまざまなものがきちんと循環していくのではないかという気がします。有機資源といっても限りがあるものですから、有機農業が今後増えてきたときに、地域の資源の奪い合いにならない手段も必要です。ですから、無肥料無農薬という方法で栽培することに魅力を感じています。
本当にシンプルに農業を続けていきたいですし、いろいろな作業を通して地域を守っていくという大事な仕事も含むのが農業だと思います。
べースとなることをきっちりとやりながら、家族を守り地域を守り百姓としてあり続けたいというのが強い想いです。
うちの野菜や有機米は市内のマルシェや自然食品の店、インターネットでも販売していますか、家に来て田んばを見てもらって買っていただけると嬉しいですね。農園に直に来ていただけるのは大歓迎です。
この地の風土と命で力強く育った野菜本来の味やうま味を楽しんでいただきたいと思います。

DATA
淡路島花岡農恵園(兵庫県五色町)
主な生産物:葉玉ねぎ、新玉ねぎ、たまねぎ【無肥料 無農薬 自然栽培】
代表者:花岡明宏
主な作物出荷カレンダー