生産者紹介

えんどう農園

山の自然が好きで、農の営みを始めました。自然農法の野菜は地元スーパーでも好評です。

むつ市・下北郡唯一の自然農法認定生産者

かぼちゃには大きく分けて「日本かぼちゃ」「西洋かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」の3種類があり、糖質の多い「西洋かぼちゃ」が現在、大半を占めている。「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」といわれるように、β-カロテンやビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養豊富な野菜だ。 白皮栗かぼちゃの一種で、甘みが強く、加熱するとほっくりする「雪化粧」は、スープ、天ぷら、煮物などに適している。でんぷん質が多く、少し固めで、貯蔵性が高く、冬至まで保存がきく。夜、気温が高いと養分が果実へ運搬されず、品質が劣化するため、冷涼な気候を好むという。

青森県むつ市で、農薬や化学肥料を使わずに、自然農法の野菜を長年育てている遠藤柳太郎さん。広大な圃場にかぼちゃ、豆、芋、花など、多様な作物を作付けしている。

自然農法野菜のおいしさや安全性を広く知ってもらい、生産者や協力者が少しでも増えることを願いながら、81歳を迎えた遠藤さんは野菜や人を懐深く育て上げている。

同じ圃場でも土が全然違う

きゅうり、ナス、トマト、ほうれん草、つるむらさき、ピーマン、じゃがいもなど、毎年25種類以上の野菜を作ります。表皮が白く、見た目がきれいな雪化粧という名前の冬至かぼちゃは、もう20年以上前から露地で作っています。圃場は全部で3箇所あって、ここの圃場は端から端まで1町歩くらい。そのうちの1反歩、300坪で雪化粧を栽培しています。畝は1本40メートル、株間50~70センチで苗がびっちり植わっていて、全部で1000個ぐらいあります。雑草は自然のままで、かぼちゃの葉っぱも元気なので、どこに実があるかわからないでしょう。つるが黄色くなったら収穫できます。今年はお盆に100個ほど出荷しました。9月でまだ半分もとっていませんが、10月の始め頃には全部収穫します。

今年は猿が出たので対策として畝2本をナイロンで養生したのが功を奏したのか、質のよい雪化粧がとれています。
物を作るのは毎年勉強です。何年やってもこれでわかったということがありません。今年よくても来年も同じとは限らないのです。

昨年は芋とカボチャを植えた場所が合わなかったらしく、全然ダメでした。今年は芋の側にかぼちゃを植えたら、去年の倍の大きさに育ちました。同じ圃場でも、たった何メートルか離れただけで全然違います。連作を避けて来年は場所を変え、何年かに1回、同じ場所にかぼちゃを植えます。

山に親しみ、自然農法へ

昭和40年4月から平成9年に定年退職するまで31年間役場に勤めました。その前は営林署に勤めていたのですが、冬季は仕事がなく、失業保険をもらいながら、消防のボランティアとして1本10円で各家庭の煙突掃除をしていたこともあります。

退職する10年ほど前に家の裏に10坪ぐらいのハウスを用意しました。実家は宮城の米農家で、親が自給自足している後ろ姿を見て育ちました。その当時は化学肥料などなく、自然農法が当たり前でした。自分も休日に山に入って山菜やキノコをとり、木の葉を持ち帰って、野菜作りに役立てていました。最初はトマトを作ったのですが、支柱を買えず、糸を利用しました。実がなると、ぐらぐら揺れ、トマトが酔ってしまうようでした。有機栽培で3年ぐらいトマトを育てたところ、4~5年目に全然とれなくなりました。先輩に尋ねると、教えてくれるわけではなく、「自分で盗んで覚えるんだ」と言われ、圃場を見て研究しました。それでも有機栽培の大事なポイントはきちんと教えてくれて、またとれるようになりました。

地元スーパーの信頼を獲得

平成17年からは地元のスーパーと直取引を始め、自分の産直コーナーを作ってもらいました。毎朝6時過ぎから朝とれた15種類くらいの野菜の出荷準備をし、値段を決めてスーパーに並べます。消費者の気持ちを理解し、それ以上のことをやって応えます。昼にチェックして補充し、晩7時に見て次の日に何を出すか決めます。売れても売れなくても顔を出すから長持ちします。売る場があるのは幸せなことです。消費者からの要望に応え、野菜の種類を増やしています。以前は枝豆も作っていましたが、カモシカが若芽を食べてしまって実になりません。きゅうりでもなんでも、柔らかい芽が大好きです。空にはカラス、地上にはネズミ、キツネ、タヌキ、カモシカ、猿、熊と、対策すべき相手が多いのが悩みの種です。ハウスになっているトマトをごっそり、人間に持って行かれたこともありますよ。

次世代へ技術をつなぐ

いま、スーパーへ搬入をしてくれている西山節子さんとのつきあいは11年前からです。立派な野菜から売れて見栄えが悪いのは残っていたのですが、西山さんが来てから傷などをカットして売るようになりました。大きな野菜は、カットすると単価が倍くらいになります。西山さんは発想がよく、すっかりあてにしています。彼女のようなやる気のある人たちが、自分の真似をして続けてくれたらと、後継者として頼もしく思っています。我々が成功事例になって次に続く人に見せられれば、真似をする人がいっぱい出るはずです。オリンピックを時期的な目標にして、ちゃんとした出荷体制を作って収益を上げ、人を確保したいと考えています。5~10人の体制にしたいですね。そのために法人化もしました。漬物など、加工も新しくやることになっているので人手が必要です。そろそろ仕事を減らさなければならないのに、歳がいっても毎年1つか2つ、仕事の量が増えていきます。だからみんなに「ますます元気だ」と言われます。元気じゃなければやれません。来年82歳になりますが、この状況ではやめられません。慣行農家の人とも農協とも仲よく、地域全体で取り組みたいですね。楽しみながら模索しながらやっていくと、毎年何かしらの発見があります。百姓は皆そうだと思います。それがすごく楽しい。何か力になるものがあるから、やっているのです。

最高のチームワークが花を咲かせる

えんどう農園では、お盆の出荷を目指して、アスター5色とトルコキキョウ4色を約2万5000本育てている。出荷の時期4~5日間は朝4時から夜10 時まで立ちっぱなしで、10 人がかりで収穫をする。色を混ぜて3本1組で3000ほどセットし、墓に備えるように用意する。今年は雨のなか、短期集中の闘いになった。「寒くてトルコキキョウがお盆前に咲かなくて。生き物ですからね」と西山さん。3月10 日、20 日、4月中旬ごろと、3段階で種を植え、定植するのは西山さんの仕事だ。もともと多かった花の生産者が減り、市場で花を探し求める客が多いことに気づいた西山さんの提案で栽培することになったという。「花の時期になれば、何色の何をどこに植えるかというところから、おっかあがやってくれる。俺は網を張って管理するだけで、知らんぷりしていられるんです」と遠藤さんが笑う。出荷のタイミングをお盆前にあわせるのは大変だが、自然農法だから持ちもよく、年々売上を伸ばしている。

DATA
えんどう農園(青森県むつ市)
主な生産物:野菜(通年)自然農法
代表者:遠藤柳太郎
主な作物出荷カレンダー